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フルマラソンの後、疲れが取れない人は低テストステロンを疑ってみて

フルマラソン42.195kmの後は、7日間は休みましょう。走ることにより、足の裏の毛細血管で赤血球が破壊されていくため、貧血になると考えられているのです。

 近年、この運動による貧血説を否定する研究が出てきました。

Lippi G1 et al. Foot-strike haemolysis after a 60-km ultramarathon. Blood Transfus. 2012 Jul;10(3):377-83.

イタリアの研究者が発表したものです。60kmのウルトラマラソンの前と直後の血液データを比べたところ、大して貧血にはなっていなかったというのです。しかし、これは想像ですが、ランナーはマラソン当日までに日々練習を重ねているので、体に疲れがたまって造血能力が走る前から既に落ちているからではないでしょうか。

 ですから、やはりレース後にきちんと休むことが重要だと思います。また、レバーや赤身の牛肉、マグロやカツオ、小松菜など赤血球のもとになる鉄を含んだ食材を取るようにしてください。

2週間たっても疲れが取れない人はテストステロン不足

 ◇2週間たっても疲れが取れない人はテストステロン不足

 ランナーの中には、なかなか疲れが取れない人がいます。そんな人は男性ホルモンの一つ「テストステロン」の分泌量が低下している可能性があります。

 日本性機脳学会雑誌(第32巻 第1号)に2017年に発表した研究論文で興味深いことが明らかになっています。

 この研究で、市民ランナーの男性33人(平均51.1歳)、女性11人(平均50.7歳)について血液中のテストステロン値を調べました。その結果、月間ランニング距離が200kmを超えている人は、テストステロン値が低下していることが分かったのです。

 テストステロンは、運動機能の維持ややる気に関係します。そこで、普段の運動の仕方を変えたところ、みなさんのテストステロン値が回復したのです。具体的にはランニングの走行距離を30%削って、それに使っていた時間をスイム(水泳)に代えました。すると、ある人は全身倦怠(けんたい)感が改善し、またある人は不眠や性機能が改善しました。

 私の論文以外にも類似の研究があります。ちょっと気をつけるだけで、きちんと疲労が回復するようになります。

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