間質性膀胱炎に用いられることが多い膀胱水圧拡張術という診断を兼ねた治療法がある。実は、そのエビデンスは決して高くない。
膀胱水圧拡張とは
間質性膀胱炎は膀胱痛、頻尿、尿意切迫感などの症状を伴う疾患です。これらの症状に対して、薬物療法が有効でない場合には、診断と治療の両方の目的を兼ねて行われるのが水圧拡張術です。
- 麻酔(一般的には下半身麻酔)を用いて、手術室で行われます。
- 滅菌水を恥骨の上の80cmに準備した点滴から、自然滴下で膀胱内に注入しながら、膀胱粘膜の所見を膀胱鏡(膀胱の内視鏡)で観察します。
- 点状~五月雨状~滝状の出血、膀胱内のハンナー潰瘍(膀胱上皮の欠損に伴って生じる潰瘍)は間質性膀胱炎に特徴的な所見です。これらが観察された場合は、さらに治療のための水圧拡張を行います。
- 治療のための水圧拡張は、80 cmの高さから膀胱内に滅菌水を注入して3分間の拡張を2回行います。
- 水圧拡張術にかかる時間はおよそ30-40分です。
- ハンナー潰瘍を認めた場合には、内視鏡下に電気凝固を行うことにより疼痛が改善するといわれています。
- 水圧拡張後に、上皮内癌(1%といわれる)の合併がないことを確認する目的で、膀胱鏡から小さな鉗子を挿入して膀胱粘膜を少量採取(膀胱生検)します。
- 術後は尿道カテーテルを留置しますが、多くは翌日抜去します。血尿が高度にでる場合には数日カテーテルを留置する場合もあります。
膀胱水圧拡張術のエビデンス
医学誌Int Urogynecol Jに投稿された論文では、59の論文がレビューされました。1975年から2016年までの分析に利用できる元のデータが含まれている研究は17件のみでした。10件の研究が比較研究で膀胱内圧の結果を評価するか、補助療法を評価するための対照としてウロダイナミック検査を使用しました。7件の研究が他の薬剤または治療法と組み合わせて膀胱内圧亢進症を評価しました。
最良の反応は、中等度から重度の前立腺炎の男性の56%と「炎症性膀胱炎」の患者の57%でそれぞれ主観的な改善を報告しました。膀胱内圧差のみの効果を評価するために、質問票でもアナログ尺度でもない、検証済みの結果測定を採用した研究はありませんでした。
エビデンスは現時点では弱い
現在の基準によるエビデンスの根拠が弱いにもかかわらず、Cystodistensionはますます人気があります。入手可能なエビデンスの質は、新たな介入に期待されるレベルを下回っています。今後、十分なデータの上での調査が必要です
Int Urogynecol J
. 2018 Feb;29(2):251-257. doi: 10.1007/s00192-017-3355-y. Epub 2017 May 26.
A systematic review of the literature on cystodistension in bladder pain syndrome
Louise E Olson
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