髪をそめる材料が発がん物質では?とだれでも思うことです。それを研究した論文があります。
Zhang Y, et al. Personal use of permanent hair dyes and cancer risk and mortality in US women: prospective cohort study. BMJ. 2020 Sep 2. [Online ahead of print]
米国の看護師健康調査(Nurses’ Health Study)に参加した女性11万7200人を対象にしました。
永久染毛剤(ヘアカラー)の個人的使用とがんリスクおよび死亡率との関連を前向きコホート研究で検討しました。追跡期間は36年でした
その結果、永久染毛剤の使用者では非使用者に比べ、リスク増加のなかったものは、以下です。
非悪性黒色腫皮膚がんを除く固形がん(2万805例:ハザード比0.98、95%CI 0.96-1.01)、
造血器がん全体(1807例:同1.00、0.91-1.10)、
ほとんどの特定のがん(皮膚扁平上皮がん、膀胱がんなど)、
がん関連死(4860例:同0.96、0.91-1.02)。
わずかにリスクがあるもの
わずかだけど、リスクの増えたものは以下です。
基底細胞がんのリスクは永久染毛剤使用者でわずかに増加した(2万2560例:同1.05、1.02-1.08)。
蓄積量で、発がんの可能性があるのは、乳がん・卵巣がん
累積使用量で関連があるのは、以下です
累積使用量と乳がん(エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、ホルモン受容体陰性)および卵巣がんのリスクに正の関連が認められました。