JAMAオンコロジーにて2021年に発表された、ハーバード大学の研究によると、アスピリンは大腸がんを抑えているおとが、大人数の調査で報告されています。これは、研究者らが、合計94,000人以上の人々 を、定期的に健康アンケート調査した大規模な研究です。70歳以上の人々は、アスピリンを服用していない人と比較して、週に少なくとも2回 325mgまたは81mgのアスピリンを服用した人は、大腸癌を発症するリスクが20%低かったというものですただし、65歳までに治療を開始した場合に限られる。70歳以降にアスピリン療法を開始すると、大腸癌に対する効果は関連していなかった。
これは、以前から論議されているもので、1988年の報告が最初ですその後、さまざまな地域で、患者を観察する研究でアスピリンを飲んでいる人が大腸がんが少ないことが統計されました
しかし、もっとも信頼できる研究方法であるRCT(ランダマイズ・コントロール・スタデイ)が、このテーマではできません
このRCTを研究をするには、アスピリンを飲む人と、飲まない人の2種類のグループを、何年も経過をみないといけない。事実上無理なのです
そこで、大腸がんになるまで被験者を様子みるわけにいかないから、大腸線種ができるかどうかで、エンドポイントとして研究計画されることが一般的です
ここで、興味があるところは、アスピリンは他のがんの発生が少なくならないか? と アスピリンを飲むなら、どの程度ということですね
ほかのがんというと、 おなじくJAMAオンコロジーに最近論文があり、
メリーランド州の研究チームのものなので、アスピリン使用と膀胱がん、乳がん、食道癌、胃癌、膵臓癌、子宮癌について調べています
このデータでは、合計約14万人の統計で、アスピリンの使用は、膀胱がんと乳がんの患者において、生存率があがり、食道、胃、膵臓、尿管のがんでは、関係なかったとしています
では、どの程度の量をむのがよいかということですが、これは、結論がありません
まず、この研究は観察的なものであり、アスピリンが大腸癌を防ぐかできないかを証明していないです
キーワードとしては、低用量アスピリンを使っている人が研究に多くふくまれることです
低用量アスピリンは、血中濃度がひくく、作用時間が短いです。75mアスピリンを服用して、血中濃度7マイクロモルです。そのこともあり、ターゲットも絞られていて、血小板という細胞に限られます
血小板には、シクロオキシゲナーゼという酵素の一部があり、COX1といいます。このCOX1がアスピリンが作用するところです。COXというものは、代謝されるとPG1という物質を産生するのですが、このPG1が大腸がんを発生する引き金になります。そこで、COXをおさえるのに、低用量アスピリンで十分あろうと予測できます
どれだけ服用するかですが、低用量アスピリンを週3日以上ということになります
しかし、これには、リスクがあります。定期的に使用すると消化管出血など、のぞまない出血がでてくるリスクがあるからです
ですから、現時点では、服用は、医師としては、メカニズムがはっきりしていないこと、証拠が不十分、そして、消化管出血などのリスクがあることから、おすすめはできません。
もつとがんの抑制に関する研究がすすみ、未来には服用が常識になる可能性があるというレベルの情報です
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