欧州心臓病学会(ESC2020)にて台湾研究者らは、ビッグデータとAI(Artificial Intelligence)を用いたPrecision Medicine(精密医療)により、アブレーションの適応や心房細動再発を予測する試みを紹介しました。
7325例の心房細動患者における肺静脈―左房のCT画像をビックデータとして使い、AIが解析をします。ターゲットは、左房の形態を分類、層別化です。AIは、左房イメージを再構築して、再発しやすい左房形態を一定の精度で予測できると報告しています。また、肺静脈以外の異常興奮部位も、CT画像のディープラーニングにより同定できると言います。最終的にはそれらを組み合わせることで、術前のCT画像から心房細動の再発が予測でき、その陽性適中率は79.7%とのことでした。
心房細動は、もともとAIに向いている
心房細動は、AIに向いている疾患といえます。たとえば、無症候性心房細動の予後の不良であること、心電図の診断がつく、リスク因子が同定できていること。いくつもの因子がしっかりデータ化しているので、計測ができるのです。
ウエアラブル端末のターゲットは心臓
Apple Watch、スマートウオッチや、スマートフォンによる不整脈スクリーニング機能の精度は現実の診療とかわりがありません。その感度はそれぞれ97~99%、91.5~98.5%、特異度は83~94%、91.4~100%と良好であることが報告されています。ウエアラブルデバイスに遺伝子解析、心電図、バイオマーカー、など組み合わせることによる「マルチオミックス解析」が今後使われるようになるでしょう。