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女性特有の悩み。骨盤臓器脱と女性ホルモン

骨盤臓器脱という病気があります。聞きなれないこの病気は、とても患者さんが多くて、エジプトのパピルスに治療記録があるぐらい古代より知られていました。骨盤の中の内臓である尿道、膀胱・子宮・直腸などが、膣から落ちてくるというもので、尿道が落ちると尿道瘤、膀胱がおちると膀胱瘤(別名は、経膣膀胱脱)、子宮が膣から落ちてくると軽症を子宮下垂、重症を子宮脱、直腸が膣から落ちてくると直腸瘤(別名は、経膣直腸脱)といいます。股間にピンポン玉のようなものが挟まった違和感や、頻尿、尿失禁、便秘などの症状を出してしまいます。

この骨盤臓器脱は、まずは出産の時に、赤ちゃんが産道のどこにストレスをかけたことで最初の原因ができます。たとえば、産道の一番出口の膣口で赤ちゃんの頭が出れなくて長い時間を停滞すると、膣口の周りの筋肉が切れてしまいます。切れたことで大きな症状になりやすいのは、尿道を支える筋肉。出産前から大きくなった子宮の重みで落ち気味なので、多くの人は妊娠中、咳をしただけで尿がもれる腹圧性尿失禁になりますが、出産後にこの筋幾が切れると、尿道瘤になり、尿道を支えることができないために、症状の強い腹圧性尿失禁になります。早い人で、出産直後からです。

中には、出産のこうしたストレスが、40年や50年かかって症状として出てくる人がいます。たとえば、腹圧性尿失禁の場合も、尿道の周囲の筋肉のストレスが小さくて、その後閉経して女性ホルモンが低下して、徐々に筋力が弱まり、60代になって尿道瘤になるという人もたくさんいます。膀胱瘤は、膀胱という臓器が大きいので支える筋肉の範囲が広いですから、出産のストレスでできた筋肉の傷は、その後50年近い歳月と女性ホルモンの低下で大きくなり出現します。随分時間がかかるので、まさか若い時代の出産が今の自分の悩みのおおもとだなんて、とビックリされます。
これらの病気がでてくる時期は、女性ホルモンの分泌量と深いかかわりがあります。女性ホルモンは、文字通り女性そのものを守るホルモンですから、骨盤の中の臓器や筋肉の活力になります。血管を常に新しい細胞にしておくとか、筋肉の中で脂肪代謝を促して新しくしておくなんて、女性ホルモンの得意とするところです。

骨盤臓器は、女性ホルモンの影響をもっとも受けるので、閉経とともに筋力の低下がはじまり、このころから骨盤臓器脱が出現します。ということは、女性ホルモンが閉経前にもっと分泌されれば予防になりますか?と思いますよね。答えはその通りで、更年期の時に女性ホルモンがしっかり分泌されると予防になる可能性が高いです。更年期は、卵巣の血行が悪くなり、女性ホルモンの分泌が不規則になります。そのために、女性ホルモンが上がったり下がったりを繰り返す波をおこしながら、分泌量が低下します。この波がつらいです。そこで、更年期の人にジョギングをしていただくと、卵巣の血行がよくなり、波が抑えれて更年期症状が軽くすみます。結果的にこの時期の女性ホルモンが可能な限り分泌 されるわけですから、その後の骨盤臓器脱の出現はもっと後に引きのばせるのです。

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