日本の研究チームは、かねてからレーザー治療が間質性膀胱炎潰瘍の炎症に有効とされてきました。また、高圧酸素療法で骨盤全体の血流を改善させる治療も有効とされてきました。今回は、この2つを組み合わせる目的で、膣からの微弱レーザーで、炎症にも、血流にも効果的な方法が考案されて、論文報告されました。
N.Okui, M. Okui and Z. Visintin. Effects of non-ablative vaginal erbium: YAG laser treatment for interstitial cystitis/bladder pain syndrome: a case series (UNICORN-2 study) . Climacteric 2020
https://doi.org/10.1080/13697137.2019.1703940
弱いレーザーとは、レーザーを照射する部分にやけどをおわさないレベルで、非蒸散性といわれます。名称は、VELといいます。
今回は、いくつかの間質性膀胱炎の治療をおこなったにもかかわらず改善しない12人に関してVELを行ったところ、9人の人に反応があり、とくにハンナー潰瘍の改善が認められました(レスポンダー)。治療効果は、12か月でした。
今回のレーザーは、人工知能によりVELの設定を調節し、それぞれの痛みにあうレベルに変更をしながら柔軟に行いました。
レスポンダーは、すぐに効果がある人、数回のVELを行わないと効果が出てこない人などさまざまでした。
重篤な副作用はありませんでした。
VELでは最初の報告だけに、今後の治療件数にともない間質性膀胱炎の治療に使える選択になっていく可能性があります。間質性膀胱炎と同じく、原因不明の全身の痛みである線維筋痛症にも応用きく可能性も秘めています。