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間質性膀胱炎の統計調査と男女比

間質性膀胱炎は女性に多い病気です。人口に対する間質性膀胱炎の比率を出すために、以前よりさまざまな統計がされました。

 

1915 年に Hunner が膀胱痛などの症状と膀胱に潰瘍を有する症例を報告

1915 年に Hunner が膀胱痛などの症状と膀胱に潰瘍を有する症例を医学誌New Eng J Medに報告したのが最初です。その特徴的な潰瘍はハンナ潰瘍と呼ばれることになりました。ハンナ潰瘍(現在は、 ハンナ病変という名前になっています)がなくても類似の症状を示す症例も多く報告されました。また,他の疾患でも類似の症状を呈するケースがあることがわかりました。このため、すべての症状を有するものが調査対象になっていきました。

 

初期のころの調査

フィンランドでは1975年に、  IC の罹患率は人口 10 万対 10.1 人と報告しています

オランダでは,1995 年に 女性患者 10 万人に対して 6~8 人と報告しています

ふたたび、フィンランドでは、2002 年に無作為抽出した 2,000 人に対するアンケート調査では,10 万人あたり450 人の患者がいると推定されました。2005 年に臨床検査まで行ったところ、IC と確定診断できる症例が 10 万人あたり 300 人,可能性がある症例が 10万人あたり 680 人であると推定している。

 

米国大規模調査

1987 年のアンケート調査では、全米に少なくとも43,500 人の IC 患者がいると推定されています。類似例を含めると 217,500 人の患者がいる可能性が指摘されました。
1994年のNational Household Interview Survey に基づく報告では,全人口の 0.5% に IC の可能性があると報告しました。

1999 年に 女性看護師を対象としたアンケート調査では,10 万人あたり 52~67 人の IC 患者がいると考えらました。
2005年の患者のデータベースをもとにした研究では,女性では 10 万人あたり 197 人,男性で 10 万人あたり 41 人と推測されました。

ここで、2009年に大規模調査が行われ、これをRAND(Research ANd Development)疫学研究といいます。

この研究では、膀胱痛症候群/間質性膀胱炎の症状を特定するために、2つの症例定義を作成して検証しました。2007年8月から、米国の家庭に電話をかけ、膀胱症状または膀胱痛症候群/間質性膀胱炎の診断を受けた成人女性を探しました。第2段階のスクリーニングでは、症例定義基準を満たす被験者を特定しました。それぞれが、膀胱症状の重症度と影響、ヘルスケアの追求、人口統計に関する60分間のインタビューを完了しました。データ収集は2009年4月に終了しました。ランダムサンプルには146,231世帯が含まれ、そのうち131世帯が 691人には成人女性が含まれていました。これらの世帯のうち、32,474人が膀胱の症状または診断を受けた成人女性を報告し、そのうち12,752人が質問票に回答しました。

高感度の定義に基づくと、女性の6.53%(95%CI 6.28、6.79)が症状の基準を満たしていました。高い特異性の定義に基づくと、女性の2.70%(95%CI 2.53、2.86)が基準を満たしていました。これらの割合は、膀胱痛症候群/間質性膀胱炎の症状を持つ18歳以上の米国の女性330万人から790万人に換算されました。しかし、実際に病院で、間質性膀胱炎とされたのはわずか9.7%の女性にすぎませんでした。

 

アジアでの統計調査

韓国の人口ベースの集団的研究で女性の IC の有病率は 0.26%(10 万人あたり 26 人),

台湾の統計では、 10 万人あたり 22 人(0.022%)という報告があります

 

日本での統計調査

1998 年に 全国の主な 300 の病院を対象としたアンケート調査では,泌尿器科患者 10 万人に対し 2 人と極めて少ないとされました。女性は男性の約 5 倍と報告されています。ここから、日本で治療中の患者数は約 4,500 人(0.004%:全人口の 10 万人あたり 4.5 人)と推定されています
2002 年に行われた排尿に関する大規模な疫学調査によると,膀胱痛が 1 日 1 回以上起こる頻度は 1.0% であるとされました。

2013 年の調査では,わが国で治療中の IC 患者数は約 4,500 人(0.004%:全人口の 10 万人あたり 4.5 人)と推定されています。

 

 

 

 

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