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腸内細菌が作るホルモンで、身体を大切にしよう

私たち人間の腸の中には、500種類以上の腸内細菌がいます。その数は、なんと100兆個です。この腸内細菌たちは、人間の健康に寄与するものは善玉菌、健康被害をおこすものは悪玉菌といいますね。今回は、この善玉、悪玉って、どうゆうこと?というからお話ししましょう。
人間と細菌との付き合いは、随分長いものです。哺乳類のころから一部の細菌は腸の中に住み着き、適度に腸を刺激していました。このため、哺乳類は、適度な刺激により、免疫物質を出してきました。日ごろから刺激に対して免疫が反応することで、風邪をひいたときウイルスに対応できる免疫を出すことができるようになります。こうして、一部の細菌が住み着くことで、哺乳類が長生きできるようになり、結果として細菌も子孫を沢山残すことができます。これは善玉菌ですね。

一方で、悪玉菌となると、人間との付き合いが大変短いものです。悪玉菌も子孫を沢山増やしたいのですが、腸の中で沢山増えすぎてしまいます。このために、哺乳類が健康被害をおこし、あまりに悪い場合は、死亡することがあります。細菌ではないのですが、インフルエンザなどは、毎年のように新しくなってしまいます。人間との付き合いがもっとも浅いものですね。
腸内細菌は、さまざまな疾患とのかかわりがあります。例えば、アメリカの研究者が行った研究では自閉症の子供たちは、クロストリジアという菌が増えていることがわかりました。そこで、クロストリジアを抑える薬を投与したところ、自閉症が治ってきたとしています。また、抗生物質の投与により腸内に真菌とプロスタグランジンE2というものが増えます。このプロスタグランジンE2が増えると、血液にながれて、喘息をおこすのです。腸内細菌は大切ですね。

この腸内細菌を維持することはとても大事なのですが、抗生物質を飲み過ぎると、善玉菌が少なくなってしまいます。よく、膀胱炎のために、抗生物質を飲んでもなおらず、次ぎ次病院を変えて、いろんな抗生物質を飲んだために、膀胱に真菌が増えて膀胱炎が治らない場合があります。こんな時は、抗生物質をやめて、善玉菌を服用すると大変よくなります。
腸内細菌は、ホルモンのような大切な物質『短鎖脂肪酸』を、腸内細菌が食物繊維を発酵する際に作ることがわかっています。“ホルモンもどき”ともいうべきでしょう。そして短鎖脂肪酸足りないと、肥満と肝臓がんが繋ってしまいます。関係ないといわれた肥満と肝臓がんなのですが、現在わかっていることを、図にしてみました。
胆汁酸とは、胆汁に含まれる有機酸です。肝臓でコレステロールから合成されます。まず、一次胆汁酸というものがあり、ヒトではコール酸、ケノデオキシコール酸といいます。一次胆汁酸は、アミノ酸のグリシンあるいはタウリンと合体して抱合体というものを形成して、胆汁成分として十二指腸に分泌されます。

肥満のために腸内細菌が変わってしまって、大腸内で短鎖脂肪酸が、作られないと大問題になります。胆汁を脱抱合して、二次胆汁酸というものを作ってしまいます。二次胆汁酸には大腸がん促進作用も報告されてもいるのですが、それだけでなく、二次胆汁酸は腸肝循環をつかって肝臓に運ばれ、肝臓の細胞(肝星細胞)にとりこまれ、とりこんだ細胞は、老化し、Rasシグナルというがん化の信号を沢山だしてしまいます。こうして、肥満は、肝臓がんを誘発するのです。

いままで、癌というのは、突然変異 と思い込んできました。どうやらそうではないようです。肥満になって大切なホルモンもどきの『短鎖脂肪酸』が減ると、大腸がんや肝臓がんになるようにできている可能性があるらしいのです。腸内細菌は、大事にしたいですね。

女性特有の悩み。骨盤臓器脱と女性ホルモン

パーキンソン病

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