2009年のレースで記録的なスピードで走ったステファニーエレット選手は、医務室に運ばれた。医師は、彼女が嘔吐した内容に、痛み止めがあることに注目した。そのあと、問題横紋筋融解症、腎不全が起こり始めていた。
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痛み止めは、イブプロフェン、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)がある。これは、腎臓に血液を送るプロスタグランジンというホルモンを抑える作用がある。ただでさえ、運動による発汗で腎臓には負担がかかっているのである。そこに、血液が流れない。腎不全になってしまうリスクが出現する。
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また、痛み止めは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素もおさえてしまう。COXには、COX1とCOX2の2種類がある。COX-1阻害薬による副作用として胃腸管障害がおこる。COX-2選択性阻害薬はこの副作用の無い鎮痛薬として汎用されているが、心血管系副作用が問題となっている。そして、多くのISAIDは、COX1とCOX2を抑えてしまう。痛み止めをのみながら、レースを継続すると、吐き気、下痢、腸出血、およびけいれんを経験するのは、このためだ。
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NSAIDはまた、低ナトリウム血症のリスクがある。電解質不均衡により脳が浮腫で、膨潤してしまう。トレイルランの最中に、脳がむくんだら命の危険がある。それでなくても、高山病も脳がむくみやすい。
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有名ランナーですら、おちいった痛み止め。あくまで、リタイアを視野にいれての使用に限ってほしい。
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