尿道憩室はわかい女性にも多く存在する治療しにくい病気です。先天的に尿道の脇に組織の弱いところが伸びて憩室をつくるので、筋肉が弱いことがしばしばです。
この憩室を切除した女性患者485例を対象に、尿失禁をなおすための人工テープ手術(スリング手術)の臨床所見、術後転帰、合併症および憩室再発率を調べた論文がでました。尿道テープは、骨盤臓器脱のメッシュ手術につかう人工メッシュと同じですが、面積がちいさいため副作用の率がすくなく、米国の調査では2%ぐらいです。
Bradley SE, et al. A Multicenter Retrospective Cohort Study Comparing Urethral Diverticulectomy with and without Pubovaginal Sling. Am J Obstet Gynecol. 2020 Jun 3.
主要評価項目は、術後腹圧性尿失禁症状の有無です
恥骨膣スリング術同時施行によって、憩室切除術歴、尿失禁手術歴、年齢、人種、経産回数で調整後の腹圧性尿失禁解消率が有意に改善したことがわかりました。
難治性である尿道憩室の手術後の尿失禁にひとつの方針がでてきたとおもいます。
(調整オッズ比2.27、95%CI 1.02-5.03、P=0.043)。恥骨膣スリング手術で、術後の短期(6週未満)尿閉(同2.5、1.04-6.22、P=0.039)、長期尿閉(同6.98、2.20-22.11、P=0.001)および反復性尿路感染(同3.27、1.26-7.76、P=0.013)のオッズ比が上昇した。