ニュージーランドOtago大学のMichael G. Baker氏らは、NZがどのようにそれを達成したのかをNEJM誌電子版にcorrespondenceとして2020年8月7日に報告しました。
手早い都市封鎖・検疫体制
NZでCOVID-19と診断された最初の患者が現れたのは2月26日でした。同じ週に公開された、COVID-19に関するWHOと中国の共同ミッション報告書は、SARS-CoV-2の挙動は、インフルエンザよりもSARSに似ているとし、封じ込めは可能であることを示唆していました。3月半ばには、NZでも市中感染が発生し、検査の件数も接触者追跡能力も不足していることが明らかになりました。
専門家からの強力な意見を受けて、NZの首脳陣は、感染抑制をめざす戦略を、ウイルスを排除する戦略に切り替えることにしました。3月26日には、このウイルスの警戒レベルを最高値となるレベル4に引き上げ、全土で厳格なロックダウンを開始しました。
その後も、各地で感染者が急増し、国民の多くはロックダウンの効果を疑いました。しかし、一定期間を経て新規感染者数は急速に減少し、ロックダウン開始から5週間後には、警戒レベルは3に引き下げられました。これをきっかけに、一部に緩やかな制限緩和がおこなわれたものの、その後2週間はほぼロックダウン状態が続いた。国民へのステイホーム指令は、結局7週間にわたりました。5月14日に警戒レベルは2となり、行動制限は大きく緩和されました。
NZの対策に対する分析
著者らはNZのパンデミック対策が成果を挙げた理由を検討しています。
科学に裏打ちされたリスク評価を迅速に行い、データに基づいて、政府が早期に重要な判断を下したことです。
様々な介入(入国管理、市中感染のコントロール、接触者追跡など)は確かに有効であったとしています。
NZのJecinda Ardern首相は、国民の心に寄り添いながらリーダーシップを発揮し、パンデミックとの闘いを国民500万人がワンチームとなって取り組むべき課題であるとして、協力を求めました。これにより、国民は政府を信頼し、多くの人々がその指示に従うことになったことが理由と考えられています。
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